あなたは陰陽盤の震えに導かれ、1階の保健室へと向かう。
廊下の空気は重く、あなたの靴音だけがやけに響き、一人きりだという事実を強調してくる。
保健室の扉には「使用禁止」の張り紙が貼られていたが、鍵は開いていた。
ゆっくりと扉を開けると、薄暗い室内に消毒液の匂いが漂っていた。
しばらく使われていないはずなのに、どこか生々しい気配が残っている。
半開きの、薄汚れたカーテンの隙間から見えるのは、誰もいないベッド。
その隣に、例の鏡が立っていた。
上半身が映るほどの、大きな鏡だ。
その鏡の前に立った瞬間――
陰陽盤が強く震え、あなたの耳に、かすかな声が届く。
「…こっちに来て…」
あなたは静かに陰陽盤を掲げる。
すると、鏡の表面がゆらりと揺れ始めた。
水面のような波紋が広がり、やがて影が現れる。
それは、10歳ほどの少女だった。
鏡の中で微笑みながら、口を動かす。
「こっちに来て」
鏡の奥に、静かに誘うような波紋が広がる。