夕方の柔らかい風が、あなたの頬を優しく撫でます。暑くも寒くもない、心地の良い気温でした。
あなたの前を歩く友人、アキは柴犬のリリィに引っ張られています。
「ほら、リリィ! 引っ張らないで! こら、木の枝を食べない!」
アキはリリィのしつけに苦労しているようです。いつもの散歩ルートである、森の近くの道に入りました。
その時でした、突然リリィが立ち止まったかと思うと、森に向かって吠えだしました。
「リリィ? どうしたの、何かあるの」
アキはリリィの異変に心配しています。リリィの鳴き声は激しくなり、森の方へ行こうとしています。
アキはリリィを行かせまいと必死にリードを引っ張ります。
「リリィ落ち着いて! ちょっ、引っ張るの手伝って! 力が……」
あなたがアキを手伝おうとリードを握った時
ブチッ
嫌な音がしました。
あなたとアキは後ろへとしりもちを着きました。あなたの手には、なんの抵抗もないリードがあるだけです。
「リリィ! 待って!」
アキは叫びながら森へと駆け出します。あなたも慌ててそのあとを追いました。 無造作に生えた木々があなたの進行を妨げます。
「リリィ! リリィ!」
アキと一緒にリリィを呼びますが、リリィの気配はありません。 このまま森の中を進んでいては、今度はあなたが迷子になるかもしれません。
アキは大きくため息をついて言いました。
「暗くなる前に戻ろう」
あなたはうなずき、引き返そうと思ったその時でした。 太鼓の音が聞こえてきたのです。
「あれ? 近くでイベントでもやっているのかな? リリィはこの音に反応したのかな行ってみよう」
あなたたちは太鼓の音に向かって歩き出しました。 太鼓の音がだんだん大きくなり、人の声が聞こえてきます。
「わあ、こんなところでお祭りしてるんだ!」
そこには、多くの屋台がずらりと並んでいました。醤油の焼ける匂いが漂っています。
「いらっしゃい!」
近くの屋台の店の者が話しかけてきました。