あなたは陰陽盤が示す本田透子の陰に向かって告げた。
本の作者は亡くなっている。
いくらここを探しても、最終巻を見つけることはできない。
そして――
内容を知りたければ、あの世で作者に聞くしかない。
冷たく言い放ったその瞬間、部屋の奥の影がゆらりと動いた。
空気が張り詰め、陰陽盤が沈黙する。
あなたは札を取り出し、祓う準備をする。
だが――
「そんな……そんな言い方……」
かすれた少女の声が響く。
「楽しみにしていた……」
「私の心を救ってくれた……」
「最後の結末はどうなるのかワクワクしてた……」
「その気持ちを、あなたは踏みにじった!!」
影の中から、本田透子の姿がはっきりと現れる。
その表情は険しく、瞳には怒りと悲しみが宿っていた。
「出て行って!! あなたの顔は見たくない!」
怒号と共に、あなたの体が強い力で吹き飛ばされる。
図書室の外へと弾き出され、扉が激しく閉まった。
ドアノブに手をかけても、鍵がかかっている。
扉の窓から中を覗こうとしても、黒い靄が立ち込めていて何も見えない。
あなたは静かに息を吐く。
どうやら、本田透子を怒らせてしまったようだ。
図書室の怪異、失敗
陰陽盤は沈黙したまま。
図書室は、拒絶の意志を持った“封じられた場所”となった。
本田透子は、まだそこにいる――
誰かが、彼女の物語に耳を傾けるその時まで。
……仕方がない。次に行こう。